Drupalとは?特徴と魅力をまとめて解説!


インターネット上には多くのウェブサイトがありますが、そのほとんどで「コンテンツ」が発信されています。
コンテンツとひとことで言っても、ウェブサイトの説明であったり、ブログ記事、お知らせなど種類はさまざまです。
そして、それらのコンテンツを管理するのに使われている仕組みがCMSです。
この記事では、CMSの1つである「Drupal」の特徴と魅力を解説します。
Drupalを知らない方はもちろん、導入を検討している方もぜひ最後までご覧ください。
CMSとは?
そもそもCMSとは「Contents Management System(コンテンツ・マネジメント・システム)」の略で、ウェブサイト上に表示するコンテンツを管理画面から入力・編集・管理できる仕組みのことです。
管理画面があるので簡単にコンテンツを増やせますし、大量に増えたコンテンツの管理もラクになります。
DrupalもCMSなので管理画面があり、そこからサイトの管理や、コンテンツ(ページ)の追加が簡単にできます。
Drupalとは
Drupal(読み方: ドゥルーパル、ドルーパル)はオープンソース・ソフトウェアとして開発されている無料で利用できるCMSです。
2001年に公開されているので、すでに20年以上の歴史があり、現在の最新バージョンは10系になります(10系は2022年12月14日にリリースされていて、その前の9系は2020年6月にリリースされています)。
特徴として、大企業や政府機関などの大規模な組織に求められる機能が標準で備わっている点が挙げられます。
そのため、セキュリティにも強く安全性が高いCMSになっています。
有名な導入事例として、オバマ大統領時代はホワイトハウスのウェブサイトがDrupalで構築されていました。
また、NASAのウェブサイトも事例として有名です。
Drupal以外のCMS
CMSはDrupalだけではなく、他にもさまざまなCMSが存在します。
Drupalと同じく無料で利用できるオープンソースのCMSや、有料で利用できるCMS。他にもCMSによって得意とするウェブサイトも違ってきます。
本記事ではDrupalの特徴や魅力について詳しくご紹介しますが、他CMSとの比較も気になる方は過去に記事にしているので、そちらも合わせてご覧ください。
参考:DrupalとAdobe Experience Manager、Sitecoreどれを選びますか? | モチヤ株式会社
参考:オープンソースのCMSはどれを導入する?DrupalとWordPress、Joomla!をケースごとに解説します
Drupalの特徴
ここから先はDrupalの特徴について紹介します。
大きな特徴として下記の8つが挙げられます。
- 大量のアクセスに強い
- モジュールを利用して機能を拡張できる
- 複雑な業務フローに対応できる
- 専門チームを備えた高いセキュリティ
- 継続的・明確なアップデートが行われる
- 多言語対応機能が備わっている
- 高機能なキャッシュシステム
- 最新ウェブ技術にも対応している
それぞれ詳しく見ていきましょう。
大量のアクセスに強い
Drupalは元々エンタープライズや大規模サイトでの利用を想定して開発されているため、大量のアクセスに強いという特徴を持っています。
もちろん個人や小規模なウェブサイトでも利用できますが、機能が過剰かもしれません。
逆に中〜大規模なアクセスや利用者数が見込まれるウェブサイトにDrupalは最適です。
大規模案件で必要な要件を満たせるCMSは少なく、選択肢としてあがるCMSはライセンス費用が高額な有料のCMSばかりです。
そんな中、Drupalは無料で利用できるオープンソースCMSでありながら、高度な要件を満たせます。
モジュールを利用して機能を拡張できる
もし、Drupalの標準機能で不足している機能があっても、「モジュール」と呼ばれる拡張機能を利用して補えます。
モジュールには本体に含まれる「コアモジュール」とサードパーティーにより開発、提供されている「コントリビュートモジュール」の2種類があります。
標準機能にないからといって諦める必要はなく、世界中の開発者によって、数多くのモジュールが公開されているので、きっと欲しい機能が見つかるはずです。
さらにカスタマイズによってオリジナルのモジュールを開発することもできます。
オリジナルであれば、細かい仕様に合わせた機能を柔軟に提供できます。
複雑な業務フローに対応できる
Drupalでは、アカウントの役割ごとに権限を細かく指定できるため、ビジネスレベルでの業務フロー対応が得意です。
多くのCMSでは管理者、編集者、投稿者などとシンプルな権限指定になりますが、Drupalでは新しいロール(役割)を作成したり、そのロールに対する権限について、1つ1つのアクションごとに細かく指定できます。
チームや部署単位でできること、できないことを設定することで、ヒューマンエラーを防止できます。
また、承認フローなども細かく指定できますので、「コンテンツをリリースする前には、複数人の承認を必要にする」ようなフローも設定できます。
このような細かい権限管理・業務フローの設定が標準機能でできるのは大きな特徴です。
専門チームを備えた高いセキュリティ
ウェブサイトが世の中に公開されている場合、常に攻撃対象になっている認識を持たなくてはいけません。
「管理画面へのログインパスワードを簡単なものにしない」などの基本的なセキュリティ対策をしっかり行うことが大切ですが、運用者がどれだけ意識していたとしても、CMSそのものに脆弱性があったり、導入しているモジュールに脆弱性が見つかる可能性もあります。
そのような事態に備えて、Drupalでは専門のセキュリティチームが存在し、日々セキュリティ向上のために動いています。
また、モジュールのセキュリティチェックも行っていたり、モジュールのコード記述に細かいルールがあるなど、バグを生みにくい仕組みになっているのも安心できます。
もし何か脆弱性が発見された場合はアップデートで対応されるので、できる限り最新バージョンを使うように気をつけましょう。
継続的・明確なアップデートが行われる
Drupalは公式サイトで常にロードマップが公開されていて、定期的にアップデートされています。
参考:Core release cycles | Core development policies and practices | About guide on Drupal.org
EOL(サポート終了期日)も明確に決まっていて、ロードマップに合わせた開発が行われています。
脆弱性が見つかった場合にも、すぐにアップデートが配信されるので、常に安全な状態を保つことができます。
もちろん、それは「Drupalが最新バージョンになっていること」や「EOLになる前のアップデートしていること」が重要になってきます。
Drupalに限らず他CMSにも言えることですが、アップデートが適切に行われている状況下で利用することが、安全な運用につながります。
多言語対応機能が備わっている
サービスをグローバルに提供している企業はもちろんのこと、国内企業であっても英語や中国語版のサイトを立ち上げることは珍しくありません。
多言語に対応することによってビジネスチャンスにつなげられる可能性があるからです。
Drupalではコアモジュールとして多言語対応が組み込まれていて、「サブドメインやパスによって言語を切り替える」「ブラウザのユーザエージェントによって表示言語を切り替える」機能があります。
他CMSは第三者が作成した拡張機能を利用しないと実現が難しい場合がありますが、Drupalは公式が提供しているコアモジュールなので安心です。
高機能なキャッシュシステム
Drupalに限らず、多くのCMSは動的にWebページ生成を行っています。
そのため、アクセスが増えるとサーバ負荷が高くなり、パフォーマンスが落ちてしまいます。
それを改善するときによく利用されるのが「キャッシュ」になります。
Drupalは標準でキャッシュ機能を備えており、効率的にコンテンツを配信できます。
ただキャッシュ機能があればいいだけではなく、キャッシュは「ログインしているサイト管理者」と「ログインしていない一般ユーザー」に分けて考えなければなりません。
まだ公開していないサイト管理者が確認段階のコンテンツを、ログインしていない一般ユーザーに対して表示すると問題になります。
Drupalではそのような複雑で高度なキャッシュ機能の実現も想定されています。
最新ウェブ技術にも対応している
最近話題に上がることの多いヘッドレスCMSという仕組みに対してもDrupalは対応しています。
ヘッドレスCMSとは、データベースを管理するバックエンドと、実際にサイトが表示されるフロントエンドを分離して、管理画面とウェブサイトの表示部分を別々に作成できるようにしたCMSです。
Drupalの場合はPHPというプログラミング言語を使用して作られているため、実際のウェブサイトの表示もPHPを使う必要がありました。
しかし、ヘッドレスCMS化することでDrupalをクラウド上のデータベースのように利用できるようになり、ウェブサイトの表示は好きに作成できるようになります。
また、Drupalで更新した内容をスマートフォンアプリやデジタルサイネージなど、ウェブサイト以外にコンテンツを表示させるような使い方も可能です。
Drupalは20年以上開発されていますが、このような新しいトレンドも取り入れて日々進化しています。
Drupalの導入をオススメするケース
ここまでDrupalの特徴を紹介してきましたが、ここから先はDrupalの導入をオススメするケースを紹介します。
もちろん、これは一例です。
Drupalは高い拡張性と柔軟性を備えているので、多くのケースで活用できますが、特にオススメするケースをいくつか紹介します。
また、Drupalの導入実績は「Explore community case studies | Drupal.org」で確認できます。
見て回ると、今回紹介するケース以外にもさまざまなサイトで利用されていることが分かります。
政府・公共機関のウェブサイト
Drupalは世界中の政府・大学のウェブサイトで利用されています。
その理由はセキュリティ的に安全性が高いと判断されているからです。
政府や公共機関のウェブサイトは、特に悪意を持った攻撃者に狙われます。
万が一乗っ取られるようなことがあれば、信頼を大きく損なうのは間違いありません。
他にも、公共機関のウェブサイトは多言語対応が必要な場合も多く、その点でもDrupalは最適です。
実際に国連の公式サイトである「un.org」でもDrupalが利用されています。
担当者がブラウザで管理画面にアクセスしてコンテンツを更新するような動的な仕組みは、便利である反面、セキュリティの面で問題になりやすく、狙われるポイントになります。
Drupalがそのような仕組みを提供しているにも関わらず、長い間継続的に採用されている実績は、そのセキュリティの高さを意味しています。
企業およびサービスサイト
「ファイザー」「box」など、大企業でのDrupal事例は多いです。
先ほど同様にセキュリティの問題も大きいですし、それ以外にも大企業ではブランドごとに多数のウェブサイトがあったり、関係者が多いためワークフローも複雑になります。
また、グローバルに展開する企業の場合は、多言語対応も必要になります。
他にも企業やサービスのウェブサイトは、広告や宣伝に伴ってアクセスが跳ね上がることがあります。
そのような突然の大量アクセスに対しても、Drupalならもともと大量のアクセスに強い作りになっているため、他CMSに比べてアクセスを無駄にすることなく獲得できます。
このように、Drupalは大企業の求める高水準なニーズにも応えられます。
ECサイト
Drupalにはコマースモジュールがあり、導入することでECサイトの運用もできます。
さらに商品を登録、掲載して終わりではなく、特集やセレクション、追加の商品情報など、さまざまな場面で追加コンテンツの管理や商品情報との連携も可能です。
ここ数年でEC市場の売り上げは増加傾向にあります。
さらに扱う情報には個人情報が多く含まれるので、高いセキュリティを備えているDrupalであれば安心できます。
大量のアクセスに耐え、セキュリティの高いECサイトを実現する上でもDrupalが役立ちます。
スマートフォンアプリ
ヘッドレスCMSとしてDrupalを利用することで、コンテンツをウェブサイト以外にも配信できます。
スマートフォンアプリにも、運用担当者が手軽にコンテンツを編集できる場所があると便利です。
アプリには「お知らせ」や「ニュース」「利用規約」「ヘルプ」など様々なコンテンツが存在します。
そうした情報の管理をDrupalで行えますし、ウェブサイトとアプリとで情報を共有するのも簡単です。
コンテンツの集約場所としてDrupalを活用すれば、ウェブサイト運用で得た経験や業務フローを活かしたアプリ運用が可能になるでしょう。
まずはお気軽にお問い合わせください
今回はDrupalの特徴と魅力について紹介しましたが、それ以外にも世の中にはCMSが数多く存在します。
後悔しない選択をするためにも、慎重に検討する必要があります。
しかし、さまざまな選択肢があるため、どれを選択すればいいのか迷ってしまうかもしれません。
そんなときは、ぜひ私たちモチヤにお問い合わせください。
お話をうかがった上で、Drupalを使用するべきかどうかも含めて最適な提案をさせていただきます。
また、CMS選定のご相談だけでなく、「Drupalの新規導入」「既存システム保守管理」などのご相談も、お気軽にお問い合わせください。

モチヤスタッフ
Drupalなど技術に関する投稿をモチヤのスタッフが行っています。