Drupal 10の動作環境|対応ブラウザからComposerやDrushのバージョンまで紹介
モチヤスタッフ2024年現在、Drupalの最新メジャーバージョンは10です。
Drupal 10になってさまざまな機能が追加され、今まで以上にカスタマイズがしやすくなりました。
しかし、旧バージョンであるDrupal 7を利用しているサイトは非常に多いです。
Drupal 7は2025年1月5日でサポートが切れてしまうため、Drupal 10への移行が必要になります。
移行に関する内容は過去に記事にしているので、まだDrupal 7を利用している方は、こちらの記事もご覧ください。
参考:Drupal 7からDrupal 10に載せ替えるべき理由を解説します
今回は、最新バージョンであるDrupal 10の動作環境についてご紹介します。
Drupal本体だけでなく、ComposerやDrushなどの開発に必要なツールのバージョンまで詳しく解説します。
現在の環境でDrupal 10が正常に動作するか気になる方は、ぜひ最後までご覧ください。
Drupal 10の動作環境
Drupal 10の動作環境は、公式サイトの「System requirements」ページで確認できます。
カテゴリ | ミドルウェア | バージョン |
---|---|---|
Webサーバー | Apache | 2.4.7以上 |
Nginx | 0.7 0.8 1.0.x 1.2.x 1.8.x 1.9.x |
|
Microsoft IIS | IIS 5 IIS 6 IIS 7 IIS 8 |
|
データベース | MySQL | 5.7.8以上 |
MariaDB | 10.3.7以上 | |
PostgreSQL | 12以上(pg_trgmの有効化が必要) | |
SQLite | 3.26以上(json1の有効化が必要) | |
PHP | PHP | 8.1 以上、8.1.6 以上を推奨 |
ウェブサーバー
Drupal 10が使えるウェブサーバーはApacheかNginxかMicrosoft IISです。
ちなみに、Drupal開発の大部分はApacheで行われることが多いらしく、知見や実例はApacheのものが多い傾向になります。
Nginxはパフォーマンスが高いにも関わらず、メモリ使用量は低いウェブサーバーで、高トラフィックのサイトに適しています。
Microsoft IIS(Internet Information Services)は、主にWindowsサーバー環境で使用されます。
特に.NETフレームワークで構築されたアプリケーションや、Microsoft製品を多用する環境での使用に適していますが、Drupalを構築することも可能です。
データベース
DrupalのデータベースはMySQL、MariaDB、PostgreSQL、SQLiteで動作します。
推奨されるのは、MySQL 5.7.8以上またはMariaDB 10.3.7以上です。 MySQLが利用されることが多いため、MySQLのバージョンを確認しましょう。
PHP
Drupal 10の実行にはPHP 8.1以上が必要です。
公式はPHP 8.1.6を推奨しているようですが、仮にPHP 8.1.6を使用していたとしても、サポート期限がすぐにきてしまうため、可能であればもう少し上のバージョンを使用することがおすすめです。
PHP 8.0以下は既にセキュリティサポート終了
Drupal 10はPHP 8.0以下では動作しませんし、2024年3月時点で既にセキュリティサポートが終了しています。
セキュリティ的に問題があっても修正されないままになってしまっているため、必ずPHP8.1以上のバージョンを使うようにしましょう。
PHPのサポート期限について
PHPのサポート期限には2段階あります。
まず、初回リリースから2年間、「アクティブサポート」と呼ばれる期間があります。
この期間内は、報告されるバグやセキュリティ問題を修正するために定期的にリリースされます。
アクティブサポートの2年間が終わったら、1年間「セキュリティサポート」と呼ばれる期間があります。
重要なセキュリティ問題が生じたときのみ、解決するためサポートが不定期で行われます。
そのため、PHPは初回リリースから3年でセキュリティサポートの期限となり、その後はセキュリティ的に問題があっても修正されないままになってしまいます。
下の表はPHPバージョンの初回リリース日とアクティブサポート期限、セキュリティサポート期限をまとめたものです。
これを見ると、PHP8.0はすでに2023年11月にセキュリティサポートが終了しています。
PHPバージョン | 初回リリース日 | アクティブサポート期限 | セキュリティサポート期限 |
---|---|---|---|
8.0 | 2020年11月26日 | 2022年11月26日 | 2023年11月26日 |
8.1 | 2021年11月25日 | 2023年11月25日 | 2024年11月25日 |
8.2 | 2022年12月8日 | 2024年12月8日 | 2025年12月8日 |
8.3 | 2023年11月23日 | 2025年11月23日 | 2026年11月23日 |
また、PHP8.1は2024年11月、PHP8.2は2025年12月と、約1年間隔でセキュリティサポート期限が終了します。
最低でも3年に1度は使っているPHPのバージョンを確認し、サポート期限が切れたまま放置しないように注意しましょう。
Drupal 10のサポートブラウザ
Drupal 10では、下記ブラウザをサポートしています。
なお、メジャーなブラウザは最新の過去2つのメジャーバージョンをサポートしていますが、ブラウザによっては最新バージョンのみ対応しています。
種類 | ブラウザ | 過去2バージョンに対応 |
---|---|---|
デスクトップ | Google Chrome | 〇 |
Firefox | 〇 | |
Safari | 〇 | |
Microsoft Edge | 〇 | |
Opera | 〇 | |
Firefox ESR | ||
モバイル | iOS Safari | 〇 |
iOS Google Chrome | ||
Android Google Chrome | ||
Opera Mini(「極端なデータ節約」モードを除く) | ||
Samsung Internet |
Drupal 9からの変更として、Drupal 10では下記2つのブラウザのサポートが外れています。
- IE11 (Internet Explorer 11)
- UCブラウザ
IE11は既にサポートが終了しているため、問題ありません。
また、UCブラウザは中国のAlibabaが開発しているブラウザで、日本での使用ユーザーはかなり低いと思われるため、そこまで大きな影響はなさそうです。
コントリビュートモジュールが対応しているかどうかは別なので注意
サポートブラウザに関しては、あくまでDrupal 10本体と、Drupalが公式で提供しているコアモジュールのみになります。
コントリビュートモジュールに関しては適用されないため、注意が必要です。
Composerのバージョン
ComposerはPHPのライブラリやパッケージの依存関係を管理するために使われるツールです。
Drupal 10には自動アップデート機能があり、この機能を使用するためには、Composer 2.3.6以上が必要になります。
下記コマンドでバージョンを確認しましょう。
composer -v
2.3.6未満のバージョンを使っている場合は、下記のコマンドで最新バージョンにアップデートできます。
composer self-update
最新ではなく指定のバージョンにしたい場合は、バージョンも指定して実行します。
composer self-update 2.3.6
もしバージョンを上げて問題があった場合は、「--rollback」をつけて以前のバージョンに戻すこともできます。
composer self-update --rollback
Drushのバージョン
「Drush(ドラッシュ)」は、本来Drupalの管理画面から行うさまざまな操作をターミナル上からコマンドを打って操作できるようにするツールです。
詳しい使い方やインストール方法は過去に記事にしているので、気になる方はそちらをご覧ください。
参考:ターミナルからDrupalを操作する「Drush」コマンドのインストール方法や基本的な使い方
Drupal 10はDrush 12にのみ対応しています。
正確にはDrush 11にも対応しているのですが、Drush 11はすでにサポート期限が切れています。
また、Drush 12はPHP 8.1以降でのみ動作します。
バージョン | 対応PHP | サポート期限 | Drupal 10への対応 |
---|---|---|---|
Drush 12 | PHP 8.1以降 | 最新バージョン | 〇 |
Drush 11 | PHP 7.4以降 | 2023年11月 | 〇 |
Drush 10 | PHP 7.1以降 PHP 8は未対応 |
2022年1月 | × |
他バージョンやさらに詳しい情報に関しては、Drushのインストールページで確認できます。
まとめ
ウェブサーバーやデータベースのバージョンは問題ない場合が多いと思いますが、PHPに関しては最新バージョンの利用が必要なため、要件を満たしていない企業も多いのではないでしょうか。
Drupalはセキュリティに強いCMSですが、その強みを活かすためには、使用技術の適切なバージョン設定は不可欠です。
すでにDrupal 10を利用している場合はPHPのバージョンを確認し、2024年11月25日までに8.2以降のバージョンにアップデートしておきましょう。
Drupal 7を利用している場合は、Drupal 10への移行作業を進めましょう。
Drupal 7のサポート期限は2025年1月5日ですが、直前になって慌てないためにも、今すぐにでも計画を進めることが推奨されます。
弊社モチヤでは移行に関するご相談・開発や、システム保守管理などのご相談も受け付けております。
ぜひお気軽にご相談ください。
モチヤスタッフ
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