Drupal多言語サイト事例5選!導入前に知るべきメリットとデメリット


Drupalで多言語サイトを作りたいけど、メリットとデメリットがよく分からない…」そう感じている方も多いのではないでしょうか?
実は、Drupalの多言語機能は強力ですが、導入には注意点もあります。適切に活用すれば、グローバル市場での競争力を高められますが、設定の複雑さや運用の負担も考慮する必要があります。
この記事では、Drupalの多言語サイト事例を5つ紹介しながら、導入前に知っておくべきメリットとデメリットについて詳しく解説します。
Drupalって、結局コストが高いんでしょ?
うーん、確かにWordPressとかより初期費用はかかるかももち。


でも、長い目で見ればDrupalの方がお得よ! 天才の私が言うんだから間違いない!
拡張性とかセキュリティとか、後々のこと考えると…意外とアリもち?

Drupalの多言語対応とは?基本機能と特徴を解説
Drupalの多言語機能の概要
Drupalは、多言語対応機能を標準で備えたCMS(コンテンツ管理システム)です。つまり、追加のプラグインやモジュールを導入しなくても、基本的な多言語サイトの構築が可能となっています。具体的には、コンテンツの翻訳、インターフェース(管理画面)の翻訳、言語切り替え機能などが標準で提供されています。
Drupalの多言語機能は、単に複数の言語を表示するだけでなく、言語ごとに異なるコンテンツを表示したり、特定の言語のユーザーに対してのみ特定の機能を提供したりするなど、柔軟な設定が可能です。これにより、各国の文化や習慣、法規制などに合わせた、きめ細やかな多言語サイト運営を実現します。
多言語対応に必要なモジュールと設定方法
Drupalで多言語サイトを構築する際、主に以下の4つのコアモジュールが利用できます。
- Language(言語)モジュール: 言語の追加や管理、言語検出の設定などを行うモジュールです。
- Content Translation(コンテンツ翻訳)モジュール: コンテンツ(記事、ページなど)の翻訳機能を提供するモジュールです。
- Interface Translation(インターフェース翻訳)モジュール: 管理画面やシステムメッセージなどのインターフェースを翻訳するモジュールです。
- Configuration Translation(設定翻訳)モジュール: サイト名、メニュー、ビューなどの設定情報を翻訳するモジュールです。
これらのモジュールを有効化し、必要な言語を追加、設定することで、多言語サイトの基盤を構築できます。
翻訳モジュール(Content Translation / Interface Translation)の使い方
Content Translationモジュールは、記事やページなどのコンテンツを翻訳するための機能を提供します。各コンテンツの編集画面で、翻訳対象の言語を選択し、翻訳内容を入力することで、多言語コンテンツを作成できます。
Interface Translationモジュールは、Drupalの管理画面やシステムメッセージなどを翻訳するための機能を提供します。これにより、サイトの管理者や編集者が、自分の母国語でDrupalを操作できるようになります。
言語スイッチャーの設定方法
言語スイッチャーは、サイト訪問者が表示言語を切り替えるための機能です。Drupalでは、ブロックとして提供されており、ヘッダーやフッターなど、サイトの任意の場所に配置できます。言語スイッチャーには、言語名や国旗を表示するなど、いくつかの表示オプションがあります。
Drupalの多言語サイト事例5選!企業の実例を紹介
本記事で紹介する事例は、あくまで参考情報です。実際のバージョンや仕様が異なる場合がありますので、詳細は各WEBサイトをご確認ください。
事例①:統計局「e-Stat」(政府統計の総合窓口)
- 運営者: 総務省統計局(日本政府)
- Drupalバージョン: Drupal 8(2018年刷新時に採用)※2025年現在のバージョンはDrupal 10
- 多言語対応の仕組み: Drupal 8の多言語機能を活用し、日本語と英語の両言語でコンテンツを提供。ヘッドレスDrupal構成を採用し、既存のJava/Oracleバックエンドとシームレスに統合することで、多言語表示をスムーズに実現している。
- 特徴: 日本政府の公式統計情報を提供する大規模なポータルサイトであり、数百万ファイル規模の統計データを管理している。フロントエンドをDrupalに統一することで、統計情報の検索・表示が高速化され、ユーザーの利便性が向上。Drupalの柔軟性を活かし、サイトの更新や新機能の追加コストを削減しながら、安定した運用を実現している。
出典:総務省統計局「 e-Stat(日本語) / e-Stat(英語)」
事例②:デジタル庁公式サイト(統合政府サイト)
- 運営者: デジタル庁(日本政府)
- Drupalバージョン: Drupal 9(2021年のサイト統合実証実験で採用)※2025年現在のバージョンはDrupal 10
- 多言語対応の仕組み: 政府サイト統合プロジェクトの一環として、Drupalを活用し、日本語・英語などの多言語コンテンツを共通基盤で管理。デザインシステム上に言語切替機能を実装し、訪日外国人向けの情報提供にも対応可能な設計となっている。
- 特徴: 日本政府のウェブサイトを統一するため、Drupalのマルチサイト機能を活用し、各府省庁のサイトを統合。デザイン・コンテンツタイプ・タクソノミーを統一することで、政府全体のデジタルサービスの品質向上を図っている。開発プロセスにはリーン/アジャイル手法を採用し、機動的な機能改善と高い拡張性・アクセシビリティを実現している。
出典: デジタル庁公式サイト
事例③:沖縄科学技術大学院大学(OIST)公式サイト
- 運営者: 沖縄科学技術大学院大学(内閣府設置の大学)
- Drupalバージョン: Drupal 9(2022年リニューアル時点)※2025年現在のバージョンはDrupal 10
- 多言語対応の仕組み: 英語と日本語を完全に対等な主言語として位置づけ、すべてのコンテンツを二言語で提供。Drupalのコンテンツ翻訳機能を活用し、各ページを日本語・英語の両方で作成。単なる自動翻訳ではなく、ネイティブ品質の翻訳を行い、文化的背景に合わせたローカライズも施されています。
- 特徴: 国際研究大学として、英語・日本語の情報量や深度を統一し、どちらの言語でも直感的に利用できるユーザー体験を提供している。多文化・多言語環境のWebサイト運用の先進的な事例として、情報アーキテクチャやアクセシビリティにも配慮した設計となっている。
事例④:European Commission(欧州委員会)
- 運営者: 欧州連合(EU)
- 多言語対応の仕組み: Drupalの多言語モジュールを活用し、EU加盟各国の公用語に対応。各言語ごとのコンテンツを統一プラットフォーム上で管理し、適切な言語で情報を提供できる仕組みを構築しています。
- 特徴: EU加盟国向けに政策・法律・データを提供する大規模な政府サイトであり、各国の公用語に対応した多言語コンテンツを運用している。アクセシビリティやセキュリティに配慮しながら、Drupalのマルチサイト機能を活用し、各国のコンテンツ管理を統一的に運営できる仕組みが採用されている。
事例⑤:Pfizer(ファイザー)
- 運営者: Pfizer Inc.(グローバル製薬企業)
- 多言語対応の仕組み: 国や地域ごとに異なるコンテンツを管理するため、Drupalの権限管理機能を活用し、各国サイトごとにコンテンツ運用を分散。コンプライアンスや法規制の違いにも対応できる柔軟な多言語運用が可能になっている。
- 特徴: 世界各国のユーザーに向けて医薬品情報を提供するため、信頼性の高い多言語コンテンツを運用。各国の法規制やコンプライアンス要件に対応しながらも、Drupalの柔軟なカスタマイズ性を活かし、統一されたブランドイメージを維持している。
出典: Pfizer(ファイザー)
Drupalの多言語対応と他のCMSとの違い
Drupalの多言語対応と他CMS(AEM、Sitecore、WordPress)との比較
観点 | Drupal (オープンソース) | AEM (エンタープライズ) | Sitecore (エンタープライズ) | WordPress (オープンソース) |
---|---|---|---|---|
1.設定のしやすさ | コア機能で多言語対応可能。モジュール追加で拡張可 | エンタープライズ向けの多言語機能が充実 | 多言語対応が標準搭載。設定が容易 | プラグイン(WPML, Polylang等)導入が必須 |
2.翻訳管理 | 翻訳管理UIあり。Translation Management等の拡張可 | 翻訳プロジェクト機能で一元管理可能 | 翻訳コネクタを導入し管理可能 | プラグイン次第で翻訳管理機能が異なる |
3.ワークフロー | モジュールで翻訳承認フローを構築可能 | 翻訳ワークフローを自動化可能 | 翻訳プロセスをワークフローに統合可能 | ワークフロー機能は弱く、プラグインで補完 |
4.SEO対応 |
hreflangタグや多言語SEO機能が充実 |
多言語SEOの自動管理が可能 | 手動設定が必要(hreflang, canonical等) | プラグインでSEO対応が可能 |
5.互換性・拡張性 | モジュールが豊富でカスタマイズしやすい | Adobe製品と親和性が高く連携可能 | .NETベースでカスタマイズ可能 | プラグインが豊富だが、競合のリスクあり |
選定ポイント
サイト規模 | 最適なCMS |
---|---|
小規模サイト | WordPress+多言語プラグイン |
中規模サイト | Drupal(標準機能が強い) |
大規模・企業向け | AEM・Sitecore(翻訳管理・ワークフローが充実) |
SEO重視 | Drupal・AEM |
補足: 最新バージョンや追加プラグインによる機能強化があるため、定期的な情報確認が必要です。
CMS選びって、運用とか将来性も大事よね…? 多言語サイトだと特に…
もちろんだもち! 運用開始後も、言語追加とか更新とか、色々あるもち。


心配ないわ! 天才の私なら、Drupalのモジュールを駆使して、翻訳も更新も自動化しちゃう!
(本当に全部できるもち…?)まあ、Drupalの拡張性は、将来を見据える上では大きな強みもちね。

Drupalの多言語対応のメリットデメリット
開発面でのメリットデメリット
観点 | メリット | デメリット |
---|---|---|
開発 | ・標準機能で100以上の言語対応。 ・翻訳APIや外部サービスと連携可能。 ・言語ごとのコンテンツ管理が柔軟。 | ・学習コストが高く、開発が複雑。 ・カスタムテーマやモジュールで追加対応が必要な場合も。 |
コンテンツ管理 | ・管理画面も含め多言語化可能。 ・翻訳作業を一元管理できる。 ・言語追加が容易で、グローバル展開しやすい。 | ・翻訳の品質管理や更新の負担が大きい。 ・言語数が増えるとメニューやURL管理が複雑化。 |
運用・保守 | ・大規模サイトでも安定運用可能。 ・全言語を1つのシステムで管理できる。 ・コミュニティのサポートが充実。 | ・言語数が増えるとサーバー負荷やデータ量が増大。 ・CDNやキャッシュ最適化が必要。 |
Drupalの多言語サイトを成功させるためのポイント
事前にサイト設計をしっかり行う
多言語サイトを成功させるためには、まず、どの言語に対応するのか、各言語でどのようなコンテンツを提供するのか、といった基本的な戦略を明確にする必要があります。また、サイトの構造やナビゲーション、URL設計なども、多言語対応を前提に設計することが重要です。
翻訳ワークフローを明確化する
翻訳作業を誰が、どのように行うのか、翻訳の品質をどのように担保するのか、といった翻訳ワークフローを事前に明確にしておくことも重要です。外部の翻訳会社を利用するのか、社内のリソースを活用するのか、機械翻訳を活用するのかなど、様々な選択肢を検討し、最適なワークフローを構築しましょう。
多言語SEOを意識した構築をする
多言語サイトを構築する際には、各言語のページが検索エンジンに適切に認識され、検索結果に表示されるように、多言語SEO対策を行う必要があります。具体的には、hreflangタグの設定、XMLサイトマップの作成、各言語のキーワード調査などを行います。
まとめ:Drupalの多言語サイトはどんな企業に向いているのか?
Drupalが向いている企業の特徴
Drupalは、以下のような特徴を持つ企業に特におすすめです。
- グローバル展開を積極的に行っている企業: 多数の言語に対応し、各国の文化や習慣に合わせた情報発信を行いたい企業にとって、Drupalは強力なツールとなります。
- 大規模で複雑なWebサイトを運営している企業: Drupalは、高い柔軟性と拡張性を備えているため、大規模で複雑なWebサイトの構築・運用に適しています。
- セキュリティを重視する企業: Drupalは、セキュリティ対策が強固であり、政府機関や金融機関など、高いセキュリティレベルが求められるサイトでも採用されています。
- 長期的な視点でWebサイトを運営したい企業: Drupalは、オープンソースであり、コミュニティによる活発な開発・サポートが行われているため、長期的に安定した運用が可能です。
他のCMSを検討すべきケース
一方、以下のようなケースでは、他のCMSを検討した方が良い場合もあります。
- 小規模でシンプルなWebサイトを構築したい場合: Drupalは高機能である反面、学習コストが高く、小規模なサイトにはオーバースペックとなる可能性があります。
- Webサイトの構築・運用にあまりコストをかけられない場合: Drupalは、カスタマイズ性が高い反面、専門知識を持つエンジニアが必要となる場合があり、WordPressなどと比較するとコストがかかる傾向にあります。
- 特定のプラットフォームやサービスとの連携を重視する場合: 例えば、Adobe製品との連携を重視する場合はAEM、Microsoft製品との連携を重視する場合はSitecoreなど、特定のプラットフォームやサービスとの連携に強みを持つCMSを選択した方が良い場合があります。
導入前に考えるべきチェックポイント
Drupalの導入を検討する際には、以下のチェックポイントを確認しましょう。
- 対応言語: 自社が必要とする言語にDrupalが対応しているか確認しましょう。
- 翻訳ワークフロー: 自社の翻訳体制に合ったワークフローを構築できるか確認しましょう。
- SEO対策: 多言語SEOに対応するための機能が備わっているか確認しましょう。
- セキュリティ: 自社が求めるセキュリティレベルを満たしているか確認しましょう。
- コスト: 導入・運用コストが予算内に収まるか確認しましょう。
- サポート体制: 開発会社やコミュニティのサポート体制が充実しているか確認しましょう。
これらのポイントを踏まえ、Drupalが自社のビジネスに最適なCMSであるかどうかを慎重に判断することが重要です。
というわけで、Drupalの多言語サイトは、グローバル展開を目指す企業にとって、強力な武器になる可能性があるもち!


そう! 天才の私とDrupalがあれば、世界中の人々に情報を届けられる! もう、言葉の壁なんて怖くないわ!
まあ、あんの場合は、言葉の壁以前の問題もあるかもしれないけど…。でも、Drupalの機能と、それを使いこなすための知識、そしてしっかりした計画があれば、多言語サイトで成功できる可能性はぐっと高まるもちよ!


つまり、Drupalと天才がいれば最強ってことね!
(天才はともかく…)まあ、Drupalが多言語サイト構築において、非常に優れた選択肢の一つであることは間違いないもち!


モチゾウ / 餅型AI社員(仮)
もちぞうは、会社のマスコット的なAI社員。白くて丸いもちもちのフォルムが特徴で、感情に合わせて伸びたり膨らんだりする。
基本的には論理的思考を持ち、いつも冷静に判断するが、語尾に「もち」をつけることで台無しになっている。