Drupalで社内ポータルを作るメリットとは?他サービスとの比較
モチヤスタッフDrupalと聞くと、コーポレートサイトやサービスサイトなど、外部に情報を発信するためのウェブサイトを構築するCMS(コンテンツ管理システム)というイメージを持つ人が多いと思います。
しかし、弊社モチヤにお声がけいただく相談・依頼内容として、最近はDrupalで社内ポータルなどの社内イントラを構築して欲しいという内容が非常に多くなっています。
今回は、Drupalで社内イントラを作るメリット・デメリットや、他サービスとの比較を紹介します。
社内イントラ・社内ポータルとは?
社内イントラ(社内イントラネット)とは、社内限定で使用されるプライベートなネットワークシステムのことです。
具体例として、下記のようなサービスがあげられます。
- 内部コミュニケーションの促進:社内ポータル・社内SNS
- ドキュメントとリソースの管理::社内ポータル
- プロジェクト管理と協働:プロジェクト管理ツール
- 社員へのお知らせや情報の配信:社内ニュースの配信
社内限定で使用しているシステムは、定義上社内イントラになるため、その種類は多岐に渡ります。
そのため本記事では、社内のドキュメントを管理したり、内部コミュニケーションを促進する目的の社内ポータルに焦点を当てて解説します。
社内ポータルの重要性
社内ポータルの需要が高くなっている理由として、「社内で扱う情報の増加」と「リモートワークの普及」があげられます。
まず、社内で扱う情報が上がっていることで、情報の散在や、情報共有が難しいため、特定の人だけが情報を持っている情報の属人化が問題になっています。
また、リモートワークが一般的になったため、社外からでも社内情報へのアクセスが必要になっています。
情報の属人化を防ぎ、どこからでもアクセスできるようにするために社内ポータルを作成し、社員はそこに情報を溜めるようにすることでこれらの問題を解決できます。
社内ポータルを作る上での注意点
社内ポータルは作って終わりではなく、その後も情報を入力して日々更新していく必要があります。
活発に更新が行われないと、情報が溜まらずに放置されてしまうなんてことになりかねません。
- どのような目的で使用するのか明確にする
- 発信しやすいように使いやすいインターフェースを意識する
- 機密情報が含まれる可能性があるため、セキュリティ対策を徹底する
- 企業の成長や変化に対応できるように、柔軟性を確保しておく
- 社員が活用しやすいように、トレーニングやサポートを徹底する
特に最後のトレーニングやサポートの徹底が重要です。
「作ったから何かあれば更新してね」ではなかなか更新されず、使われないまま放置されてしまいかねません。
目的を共有した上で、使い方のトレーニングを行います。
Drupalで社内ポータルが作れる?
Drupalは、無料で利用できるオープンソースの CMS(コンテンツ管理システム)です。世界中の開発者やコミュニティによって維持管理されています。
元々、エンタープライズや大規模サイトでの利用を想定して開発されているため、大量のアクセスに強いという特徴を持っており、社内ポータルを構築するに適したCMSです。
Drupalで社内ポータルを作成するメリット
まずはDrupalで社内ポータルを作成するメリットから紹介します。
どれも一般的な社内ポータルが作成できるサービスでは得られないメリットです。
自社に特化した構築ができる
最近はカスタマイズして使えるサービスも増えていますが、Drupalであれば自社のニーズに合わせて機能を自由にカスタマイズできます。
また、機能だけでなく見た目も自由にカスタマイズできます。
一般的な社内ポータルサービスの場合は、あらかじめテンプレートが用意されていて、そこから多少カスタマイズできるレベルですが、Drupalであれば自社への特化が可能です。
高度な権限管理ができる
Drupalは大企業のウェブサイトでも使用実績のあるCMSです。
そのため、標準で大企業の複雑な権限管理や承認フローにも対応できるようになっています。
- プロジェクトに関わる内容は、関わっている人間しか閲覧できないようにする
- アカウントごとにできることを細かく設定する
また、権限だけでなく、「投稿前に上長の承認が必要にする」といった承認フローの設定も可能です。
ユーザー数に応じた費用追加がない
多くのSaaSでは、利用ユーザー数に応じて費用が決まります。
社内のメンバーが増えれば増えるほど、それに合わせて月額費用も変動します。
しかし、Drupalは自社のサーバーに構築して利用するため、ユーザー数に応じた費用追加がありません。
すでに自社のサーバーを所有している場合は、構築費用のみでランニングコストは今までのサーバー費用から増えることがありません。
Drupalで社内ポータルを作成するデメリット
ここからはDrupalで社内ポータルを作成する場合のデメリットもいくつか紹介します。
デメリットではありますが、どの問題もモチヤに相談いただければ解決できます。
構築に時間がかかる
最近は非技術者でも簡単に自分たちでカスタマイズして社内ポータルが作成できるサービスも増えていますが、Drupalの場合、非技術者での構築は少し難易度が高いと言えます。
また、通常は知見のあるエンジニアが構築する場合でも、Drupalを社内ポータルとして使えるような形にするまでにはやはり時間がかかってしまいます。
しかし、モチヤは社内イントラの構築経験が多く、Tipsやナレッジが溜まっており、
そのため比較的早く構築が可能です。
サーバーの管理が必要
SaaSを利用すれば、サーバーの管理までのすべて任せられますが、Drupalの場合は自社でサーバーを管理する必要があります。
モチヤは、インフラ・サーバー構築・運用も多く経験があり、Drupalに最適化したサーバー構築も得意なため、安心してお任せいただけます。
社内ポータルが構築できるサービス
世の中には、社内ポータルが簡単に構築できるサービスが数多くあります。そのうち何点かを紹介します。
kintone
形態 | クラウド |
---|---|
料金プラン | ライトコース:1ユーザー月額780円 スタンダードコース:1ユーザー月額1500円 ※5ユーザーから契約可能 |
無料プラン | 30日間 |
モバイル対応 | アプリ |
kintone(キントーン)は、サイボウズ株式会社が提供するクラウドベースのノーコード・ローコードツールです。
プログラミングの知識がない非技術者でも、自分たちで簡単に業務アプリを作成できるのが特徴です。
社内ポータルの作成もできますが、それ以外にもプロジェクト管理や顧客情報管理、問い合わせ管理など、社内で必要になるさまざまな業務アプリを自分たちで作成できます。
Yappli UNITE
形態 | 専用アプリ制作 |
---|---|
料金プラン | 初期制作費用 + 月額費用 ※ 要件似合わせて変動するため、要お問い合わせ |
無料プラン | なし |
モバイル対応 | 専用アプリ |
Yappli UNITEは、組織エンゲージメントの向上を目的とした自社アプリを開発するサービスです。
情報を一元化する社内ポータル以外にも、企業理念や経営からのメッセージを社員に向けて発信できたり、教育・研修資料などのコンテンツを掲載できます。
問い合わせ後に掲載コンテンツを含めたアプリの企画提案がYappli側からあり、発注後にアプリ制作が行われます。
制作したアプリは一般的に公開するのではなく、社内専用のアプリとして、専用URLからインストールできるようにします。
Knowledge
https://information-knowledge.support-project.org/ja/
形態 | オンプレミス |
---|---|
料金プラン | 無料 |
無料プラン | 無料 |
モバイル対応 | レスポンシブ対応 |
Knowledgeはオープンソースの情報共有サービスです。
その名の通り、組織の「知識(ナレッジ)」を溜めていくことを目的にしたサービスで、自社サーバーに設置して利用します。
Drupalと同じオープンソースなので無料で利用できますし、欲しい機能があれば自分で追加することもできます。
しかし、KnowledgeはJavaで作られているため、カスタマイズのハードルが高いのと、2018年から開発が止まっている点も気になります(2024年2月確認時点)。
Microsoft SharePoint
https://www.microsoft.com/ja-jp/microsoft-365/sharepoint/collaboration
形態 | クラウド |
---|---|
料金プラン | SharePointのみ:1ユーザー月額630円 Microsoft 365:1ユーザー月額1560円 |
無料プラン | Microsoft 365プランの場合は1ヶ月無料 |
モバイル対応 | アプリ |
Microsoft SharePointは、ファイル共有や情報共有を行うポータルサイトを作成できるサービスです。
Microsoft 365に含まれているため、すでに利用している場合は追加費用なくSharePointも利用できます。
他のMicrosoft製品であるExcel・Word・PowerPointなどと相性が良いのも特徴です。
Confluence
https://www.atlassian.com/ja/software/confluence
形態 | クラウドかオンプレミスか選択可能 |
---|---|
料金プラン | クラウド型 ・Standard:1ユーザーあたり月額790円 ・Premium:1ユーザーあたり月額1510円 オンプレミス型 ・500ユーザーで年額366万円 ※ユーザー数に応じて変動 |
無料プラン | 10ユーザーまで無料 |
モバイル対応 | アプリ |
Confluence はAtlassianが提供している、リモートチームのためのワークスペースです。
ビジネス向けのWikiツールという紹介をされることも多く、ミーティングの議事録や要件定義書などの必要な文書を作成して、情報を一元管理できます。
文書は複数人で共通編集でき、ただのテキスト以外にもスプレッドシートやタイムラインなどさまざまな形式で作成できます。
事例紹介
実際にモチヤでは、日本電気株式会社(以下 NEC)のグローバル社員11万人が使う社内イントラの開発・運用を行っています。
抱えていた下記のような課題を、Drupalで社内イントラを構築することで改善しました。
- グループ会社や組織ごとに1500もの社内向けサイトが乱立していた
- サイトごとにデザインルールが違うので、必要な情報を探すのが大変
- グローバル企業ならではの複雑な要望が多数存在
詳しい内容やその他の課題、プロジェクトの進め方などは別途記事にしているので、気になる方はぜひそちらもご覧ください。
NEC の大規模イントラサイトに Drupal を採用 アジャイル開発の構築事例
Drupalで社内ポータルを作る場合はモチヤへ!
弊社にはDrupalでの開発経験が10年以上を誇る開発者や寄与モジュールのコントリビューターなど、経験豊富な技術者が多数揃っています。
本記事で紹介した通り、Drupalで社内ポータルなどの社内イントラを構築した実績も多数ございます。
「社内ポータルを導入したいけどどうすればいいか分からない」
「そもそもDrupalが適しているかどうか分からない」
このような状態からヒアリングして提案することも可能です。
また、社内ポータル以外にも、Drupalの新規導入や既存システム保守管理などのご相談も受け付けております。
ぜひお気軽にお問い合わせください。
モチヤスタッフ
Drupalなど技術に関する投稿をモチヤのスタッフが行っています。
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