Drupal 9.2.0の新機能

井上 賢太郎

2021年6月16日、Drupal9のマイナーバージョン、9.2.0がリリースされました。
リリースノート:https://www.drupal.org/blog/drupal-9-2-0

 

今回のリリースで追加された機能

今回のリリースではサイトをより安全に保つための機能改善、サイト訪問者のプライバシー保護機能の強化、Drupal7からの移行ツールの改善、Oliveroフロントエンドテーマの改善、WebP画像フォーマットの初期サポートが含まれます。

セキュリティとプライバシーの改善

ステータスレポートのページやサイトの管理者向けの一部の管理ページに重要なセキュリティ勧告やアナウンスが表示されるようになりました。これにより、サイトオーナーはセキュリティアップデートを適切なタイミングで実施できるように準備することができます。また、サイト訪問者のプライバシー保護を強化するために、Drupal 9.2.0ではGoogle Federated Learning of Cohorts(FLoC)のクッキーレスなユーザー追跡をデフォルトでブロックするようになりました。

新テーマOliveroとデモプロファイルUmamiの改善

将来的にDrupalの新しいデフォルトフロントエンドテーマとして採用予定であるOliveroが改良されました。今回のリリースではフォームデザインの刷新や様々なアクセシビリティの修正など、何十もの大きな改良が施されています。また、Drupalインストール時に選択可能なデモプロファイルである、Umamiは編集者ロールと多機能なレイアウトビルダーの導入でより柔軟になりました。

Drupal 10へのアップデートに向けた改善

Drupal 10への準備としてSymfony 5の全ての互換性問題および、いくつかのSymfony 6の互換性の問題が解決されました。Drupal 9のフロントエンドをより近代化する一環として、Drupal CoreのTour機能にjQuery Joyrideの代わりにShepherdJSを採用しました。これにより、Tour機能のアクセシビリティが大幅に向上し、jQueryへの依存が一つ解消されました。

その他の改善点

以前から提供されていたDrupal 7からのマイグレーション機能がさらに拡張されました。これまで欠けていた、ユーザー設定、ノード/ユーザー参照フィールドの移行に対応しました。 DrupalのGDツールキットの統合により、画像スタイルがWebP画像を管理できるようになりました。WebPを完全にサポートするためには、まだやることがあります。今後のリリースにご期待ください。

現在進行中のプロジェクトのご紹介

Drupal coreのCKEditor 5対応がコントリビュートプロジェクトとして進行しています。ロードマップ上の様々な観点から進展があり、ベータリリースに向けての課題をほぼ完了するところまで来ています。Drupal 9.3.0ではCkeditor 5のCoreへの組み込みが予定されています。それに先駆け、プロジェクトチームは互換性の維持に注力しています。 自動アップデートイニシアチブはTypo3やJoomlaの開発者と共に、https://github.com/php-tuf のリポジトリで、The Update Framework (TUF) のPHP実装など安全なPHPアプリケーション更新機能開発のため、非常に活発に活動しています。この成果は、将来的にDrupalのリリースに含まれる予定です。

井上 賢太郎/ Senior Drupal Solutions Architect

お客様のご要望をヒアリングし、Drupalにおいて、どのように実現するかを立案、設計しています。地元の新潟や海外からリモート勤務をしています。得意なことは格闘全般、好きなDrupalモジュールはGroupです。長期的な保守運用を視野に入れた戦略的なアーキテクチャ設計を信念としています。

著書:Drupal 8 スタートブック―作りながら学ぶWebサイト構築

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