Drupal 9.4.0の新機能紹介 デフォルトテーマ刷新、画像遅延読み込み設定の追加


2022年6月16日、Drupal9のマイナーバージョン、9.4.0がリリースされました。
リリースノート:https://www.drupal.org/project/drupal/releases/9.4.0
今回のリリースで追加された機能
今回でDrupal 9としては4回目の機能リリースとなります。Drupal 9.3.0で安定版として利用可能になった新フロントエンド向けテーマOliveroと管理用テーマClaroがついにDrupal coreのデフォルトテーマとして採用されました。また、Starterkitテーマとテーマジェネレーターの新規導入、画像読み込み時のパフォーマンス改善、権限管理に関する改良が行われています。
デフォルトテーマとしてOliveroが正式に採用!
Drupal 9.4.0をインストール時にデフォルトで適用されるテーマがOliveroになりました。これにより、インストール時のサイトの外観は以前のリリースとは大きく変わります。このテーマは外観の美しさだけではなく、アクセシビリティへの配慮がなされています。また、レスポンシブで様々なディスプレイサイズに適応しています。
デフォルトの管理テーマとしてClaloが正式に採用!
Drupal 9.4.0では管理テーマClaloがついにデフォルトの管理テーマとして正式に採用されました。このテーマは以前から試験的にDrupal coreのテーマとして提供されてきました。そのため、様々なプロジェクトや実際のサイトですでに利用されています。
Starterkitテーマとテーマジェネレーターの試験的導入
Drupal 9.4.0では試験的にStarterkitテーマとテーマジェネレーターが導入されました。Starterkitテーマは、coreのベーステーマClassyのように実行時に拡張されるのではなく、新しいスタンドアロンテーマを生成するための基盤として利用されます。現在のところ、Starterkitテーマが提供するマークアップはClassyと同じですが、そのマークアップは将来のマイナーリリースで改善することができます(Classyはできません)。そのため、安定バージョンのリリース時にはStarterkitテーマはClassyを置き換えることになります。詳しくは、ブログstarterkitがDrupal 10のテーマ作成をどう変えるかをご覧ください。
画像フィールドに遅延読み込み(Lazy loading)設定が追加
Drupal 9.4.0では画像の遅延読み込み設定が画像フィールドに追加されました。Coreにより提供されるほとんどの画像フィールドに対して遅延読み込みが適用されるようになりました。これにより、ページ表示時にブラウザ上で画像が表示可能になるまで画像が遅延読み込みされます。その結果、ページ表示が全般的に高速化されます。
コンテンツタイプ、ボキャブラリーなどの権限管理が簡単に!
これまで、コンテンツタイプやボキャブラリーなどの各バンドルの権限設定は権限設定ページで行う必要がありました。Drupal 9.4.0では新しい「Manage permissions」タブが、各バンドルに表示されるようになり、このタブから対象のバンドルの権限設定をより簡単にできるようになりました。
セキュリティアップデート管理のためのdrupal/core-recommendedの改善
drupal/core-recommendedメタパッケージはパッチレベルでの依存関係のアップデートを許可するようになりました。これにより、drupal/core-recommended を使用しているサイトオーナーは対象となるパッケージの更新を含むDrupal core のリリースを待つことなく、composerに依存するセキュリティアップデートのほとんどを自分で適用できるようになりました。
今回のリリースに関しての影響
Drupal 8の利用者
Drupal 8は2021年11月17日にサポートが終了しています。引き続きセキュリティアップデートを受けるためには、できるだけ早くDrupal 8から、最低でもDrupal 9.3.xにアップグレードしてください。8.8.x、8.9.xから9.3.xへのアップグレードは直接アップデート可能です。
Drupal 7の利用者
Drupal 7のサポートは2023年11月1日まで延長されました。引き続きバグ修正とセキュリティアップデートを受けることができます。一方、Drupal 7のサイトのDrupal 9への移行について詳しくはこちらをご覧ください。
翻訳者、モジュール、テーマの開発者
Drupal 9.4.0のようなマイナーリリースには、新機能だけでなく開発者向けの後方互換性のあるAPIの追加も含まれています。マイナーリリースは後方互換性を維持を前提に実施されるため、Drupal 9.3.x以前のバージョンに対応していたモジュール、テーマ、翻訳は9.4.xとも互換性があります。ただし、新しいバージョンでは、文字列、UI、内部API、APIの非推奨事項などに変更が加えられています。このため、翻訳、モジュール、テーマに若干のアップデートが必要になる場合があります。モジュールやテーマに影響を与える可能性のある変更点については、9.4.0 リリースノートをお読みください。

井上 賢太郎/ アシスタント
様々な業務のお手伝いをしています。地元の新潟や海外からリモート勤務をしています。得意なことは格闘全般です。