Drupalとは何か。その特徴と魅力を1記事でまとめて解説します

中津川 篤司

インターネット上には数多くのWebサイトがあります。Eコマース、コミュニティ、ニュースサイトなど数多くのカテゴリーに分かれていますが、その多くのサイトでコンテンツが発信されています。Webサイトの説明であったり、ブログ、ニュースなどコンテンツの種類も様々です。そして、そのコンテンツを管理するのに使われているのがCMS(コンテンツ・マネジメント・システム)になります。

この記事では、CMSの1つとして知られているDrupalの特徴と魅力を解説します。Drupalを知らない方はもちろん、導入を検討している方もぜひご覧ください。

Drupalとは

Drupal(読み方: ドゥルーパル、ドルーパル)はオープンソース・ソフトウェアとして開発されているCMSになります。Wikipediaによれば、2001年にオープンソース・ソフトウェアとして公開されていますので、すでに20年以上も開発が続けられています。現在の最新バージョンは9系になります(9系は2020年6月にリリースされています)。

その特徴として、堅牢で安全性の高いCMSである点が挙げられます。有名なところでは、オバマ大統領時代においてホワイトハウスのWebサイトがDrupalで構築されていました。また、NASAのWebサイトも事例としてよく知られるところです。

そんなDrupalの特徴としてよく挙げられるポイントを紹介します。

ビジネスレベルの複雑な業務フローへの対応

Drupalはどのユーザ(実際にはどのロール)がどういった処理を行えるのか細かく指定可能で、ビジネスレベルの業務フロー対応が得意です。多くのCMSでは管理者、編集者、投稿者などとシンプルな権限指定になりますが、Drupalでは新しいロールを作成したり、そのロールに対する権限について、1つ1つのアクションごとに細かく指定できます。多くの企業において、チームや部署単位でできること、できないことを規定することで、ヒューマンエラーを防止できるでしょう。

権限ロール割のスクリーンショット
権限ロール割のスクリーンショット

 

また、承認フローなども細かく指定できますので、コンテンツをリリースする前に複数人の承認フローを必要とする場合でも対応可能です。

専門チームを備えた強固なセキュリティ

Webサイトの多くは外部に一般公開されます。そのため、常に攻撃対象であるという事実を知らなければなりません。SQLインジェクションやクロスサイトスクリプティングのような攻撃は、突然襲いかかってくる可能性があります。Drupalでは専門のセキュリティチームが存在し、常にそうした攻撃からDrupalを守っています。

自社でCMSを構築したり、外部に構築を委託した場合において、専門のセキュリティチームを常に配備するのは困難です。セキュリティインシデントはいつ発生するか読めず、かつ脆弱性があった場合の攻撃は自動化されているため、有名か無名かは関係ありません。その観点からもDrupalを導入する安心感は大きいと言えるでしょう。

継続的・明確なアップデート

Drupalでは常にロードマップが公開されており、定期的なアップデートが行われています。EOL(サポート終了)期日も明確に決まっており、ロードマップに合わせた開発が行われています。万一脆弱性が見つかった場合にも、速やかにアップデートが配信されますので、常に安全な状態を保つことができます。もちろん、それは運用として最新バージョンの追従、EOLになる前のアップデートが肝心になります。

CMSではベースになるOS、その上で動くWebサーバ、プログラミング言語、データベースそしてDrupalと幾層にもレイヤーがある中で構築されています。これらのアップデートが適切に行われている状況下で利用することが、安全な運用につなげられるでしょう。

高トラフィックにも耐える高い堅牢性

Drupalは元々エンタープライズや大規模サイトでの利用を想定して開発されています。もちろん個人や小規模なWebサイトでも利用できますが、機能が過剰かも知れません。逆に中〜大規模なトラフィックや利用者数が見込まれるWebサイトにおいてDrupalは最適と言えるでしょう。

大規模案件で必要とされる要件を満たせるCMSは多くありません。その際に選択肢として挙がるのは、ライセンス費用が高額な商用CMSになります。そんな中Drupalは高度な要件を満たせる、唯一無二なオープンソースCMSと言えます。100万を超える導入実績があるDrupalがどんなWebサイトで利用されているか、Who Uses Drupal? | Drupal.comにてぜひご覧ください。

グローバルにビジネス展開するのに必須な多言語対応

サービスをグローバルに提供している企業はもちろんのこと、国内企業であっても英語や中国語版サイトを立ち上げることは珍しくありません。それによってビジネスチャンスにつなげられる可能性があります。

Drupalではコアモジュールとして多言語対応が組み込まれており、サブドメインやパスによって言語を切り替える、Webブラウザのユーザエージェントによって表示言語を切り替える機能があります。

モジュールを活用した高い拡張性

Drupalの標準機能では不足している機能があっても、拡張モジュールを利用して補うことができます。本体に含まれるコアモジュール、サードパーティーにより開発、提供されているコントリビュートモジュールがあります。機能がないからDrupalの適用を諦める必要はありません。世界中の開発者によって、数多くのモジュールが公開されていますので、きっと欲しい機能が見つかるはずです。

さらにカスタマイズによってオリジナルのモジュールを開発することもできます。オリジナルであれば、個々の仕様に合わせた機能を柔軟に提供できるでしょう。

高機能なキャッシュシステム

Drupalに限らず、多数のCMSは動的にWebページ生成を行っています。そのため、トラフィックが増えるとサーバ負荷が高くなり、パフォーマンスが落ちます。それを改善する際によく利用されるのがキャッシュになります。Drupalは標準でキャッシュ機能を備えており、効率的なコンテンツ配信を実現できます。

キャッシュはさらに認証していない訪問者と、認証後のユーザーに分けて考えなければなりません。ユーザー向けコンテンツを、認証していない訪問者に対して表示すると、大きな問題になります。Drupalではそうした高度なキャシュ実現も想定されており、大規模案件での利用も問題ありません。

最新Web技術トレンドへの対応

最近話題に上がることの多いヘッドレスCMSという仕組みに対してもDrupalは対応しています。これによってDrupalをクラウド上のデータベースのように利用でき、Webサイトはもちろんのこと、スマートフォンアプリやデジタルサイネージなど、これまでとは全く違う利用も可能になります。

Drupalは20年以上開発されているソフトウェアですが、そうした新しいトレンドも取り入れて日々進化を遂げています。

Drupalの導入をお勧めするケース(一例)

さて、上記のような特徴があるDrupalですが、どういったWebサイトへの導入がお勧めされるのか紹介します。もちろん、これは一例になります。Drupalは拡張性と柔軟性を備えており、多くの場面において活用できます。

政府、公共機関のWebサイト

Drupalは世界中の政府、世界中の大学のWebサイトなどで利用されています。それは堅牢性、安全性が高いと判断されて採用されているからです。こうしたWebサイトは日々悪意を持った攻撃者に狙われる存在です。万一乗っ取られるようなことがあれば、信頼を大きく損なうのは間違いありません。

​ オーストラリアの政府サイト
 オーストラリアの政府サイト

 運用担当者がWebブラウザで管理画面から情報を更新するような、いわゆる動的な仕組みはセキュリティ上問題になりやすく、狙われるポイントになります。Drupalが管理画面を提供し、かつ長い間継続的に採用されている事実は、そのセキュリティの高さを意味しています。

企業およびサービスサイト

ジョンソン&ジョンソンやファイザー、boxなど、大企業でのDrupal事例は多いです。ブランドごとに多数のWebサイトがあったり、多くの拠点がある中でビルドも複雑なフローになります。Drupalの多言語対応する仕組みは、グローバルにサービス展開する企業にとって最適解になるでしょう。

​ box.comのWebサイト
​ box.comのWebサイト

 企業やサービスのWebサイトは広告や宣伝に伴ってアクセスが跳ね上がることがあります。そうした突然の高トラフィックに対しても、Drupalを用いることで、アクセスをもれなく獲得できます。

ECサイト

Drupalにはコマースモジュールがあり、導入することでECサイトを提供できます。さらにECサイトでは商品を登録、掲載して終わりではなく、特集やセレクション、追加の商品情報など、様々な場面で追加コンテンツが求められます。そうしたコンテンツを管理したり、商品情報と連携するのにDrupalは便利です。

​ LUSHのWebサイト 
​ LUSHのWebサイト 

ここ数年EC市場の売り上げは増加傾向にあります。さらに扱う情報は個人情報が数多く含まれるので、セキュアに保持しなければなりません。高トラックに耐え、高セキュリティなECサイトを実現する上でもDrupalが役立つことでしょう。

アプリ

前述のヘッドレスCMSとしてDrupalを用いることで、Webサイト以外でも活用できます。スマートフォンアプリなどにおいても、運用担当者が手軽に情報を編集できる場所があると便利です。お知らせやニュース、利用規約、ヘルプなど様々なコンテンツが存在します。そうした情報の管理をDrupalで行えます。

Webサイトとアプリとで情報を共有するのも簡単です。コンテンツの集約場所としてDrupalを活用すれば、Webサイト運用で培ったナレッジを活かしたアプリ運用が可能になるでしょう。

まずはお気軽にお問い合わせください

世の中にはCMSが数多く存在します。安価なものもあれば、商用として非常に高価なものもあります。それだけに、選択に迷ってしまうことでしょう。後悔しない選択をするためにも、まずは私たちモチヤにお問い合わせください。お話を伺った上で、最適な提案をさせていただきます。

中津川 篤司 / ライター/パートナー

MOCHIYAブログのライター。
OSS好きで、テクノロジーの守備範囲は広いです。MOONGIFTという会社もやっています。趣味はバスケ、旅行、美術館&博物館鑑賞など。

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