Drupalとは、Drupalの特徴

阿部 正幸
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CMS(コンテンツ・マネージメント・システム)はWordPressや、Movable Typeなど、多くのソフトウェアが存在し、なにを使ったら良いか分からない方も多いのではないでしょうか。

この記事では、CMSの中でも3番目に利用が多く(W3Techs調べ)特に大企業や政府、高等教育機関などで運用されているDrupal (ドゥルーパル / ドルーパル)について紹介します。

CMSとは

CMSはContents Management Systemの略で、テキストや画像などの「コンテンツ」を管理して、サイトやアプリケーションにコンテンツを配信するシステムです。

管理画面からサイトのページを追加したり、お知らせやブログ記事を追加できる仕組みだとイメージすると分かりやすいかもしれません。

CMSについて

本来サイトにページを追加しようとすると、HTMLファイルを1ページ分新たに作成して追加する必要があります。しかしCMSを導入することでその手間が減り、下記のような運用上のメリットが得られます。

  • 管理画面からコンテンツを追加できるようになり、制作コストが下がる
  • 専門的な知識がなくても、管理画面から誰でもサイトを更新できるようになる
  • 誰がページを更新してもデザインが統一でき、表示崩れなどの問題のリスクも減らせる
  • 更新しやすくなることで、サイトの更新頻度を高められる

管理するサイトが30ページ以上あれば、CMSを導入することで運用コストを下げられますし、規模が大きければ大きいほど、その運用コストは下げられます。

また、仮にサイトをオープンした時点では30ページ以下だったとしても、お知らせやブログ記事を追加する予定があるのであれば、CMSを導入しておいた方が後々の運用や管理がラクになります。

Drupalとは

Drupalは、CMSの中でも世界で3番目に利用が多いソフトウェアです。
他のCMSに比べてグローバル企業・政府・高等教育機関・NGOなどで多く利用されています。

その理由は、2012年からDrupalが「大企業とプログラマに向けたCMS」を掲げており、その位置付けを意識しながらアップデートを繰り返しているからです。

そのため、大企業が求める機能が十分に備わっていたり、セキュリティにかなり力を入れています。
また、柔軟で拡張性も高いソフトウェアになっています。

Drupalのライセンス

DrupalのライセンスはGNU General Public License(GPL)で、ライセンス利用料は無料です。

無料のCMSはセキュリティを懸念されがちですが、Drupalの場合はかなりセキュリティに力を入れています。専門のセキュリティチームが存在していて、専門家40名が日々改善のために働いています。

Drupalのセキュリティに関してもっと詳細な情報が知りたい方は「Drupalのセキュリティ・脆弱性について」もぜひご覧ください。

無料でありながら、セキュリティに力を入れている点も、Drupalが大企業から選ばれている理由の1つです。

エンタープライズ向けのDrupal

Drupalは「Forbusが選んだTop100企業」のうち30%が利用しています。
また、ガートナーがWebコンテンツ管理ベンダー 18社を対象とした調査で、Drupalはリーダーに選出されたりしています。

他にもアクセス数が多いWeather.comの事例として、Drupalは月間1億ビジターの巨大サイトを支えています。

このようにDrupalは、グローバル企業や政府への導入実績、Weather.comのような世界有数のトラフィックが多いサイトの実績など、多くの場面で利用されています。

Drupalの機能と特徴

DrupalはCMSとしてすぐに使える点と、ウェブサイトに必要な機能を開発するための拡張性を兼ね備えています。
基本となる機能は備わっていて、それ以外に必要な機能があれば「モジュール」を追加することで機能を拡張できます。

モジュールの数は、Drupalの「Module project」ページで検索条件をすべてにして確認ができて、2022年10月現在で49,000以上あります。

モジュール検索画面

モジュール数はどんどん増えていますし、ほとんどの企業のニーズは、これらモジュールで叶えられます。

CMSとして最も有名なWordPressの場合は「プラグイン」を使って機能の拡張をしますが、WordPressの場合はプラグインの脆弱性が原因でサイトが攻撃されるなど、セキュリティ上のリスクを抱えてしまう場合があります。

Drupalの場合はセキュリティチームによるモジュール作成者に対する脆弱性解決のための支援もあり、セキュリティ上のリスクを少しでも減らすような仕組みが作られています。
WordPressの方がプラグインの数は多いですが、実際にセキュリティ的にも安心して使えるプラグインとなると数が限られてきます。

機能の拡張時にも安心して拡張できるのがDrupalの特徴です。

企業のニーズ

Drupalを10年以上利用してきた結果、企業からのニーズとして下記の機能をよく求められます。

  • 多言語対応
  • 承認ワークフロー
  • 承認ワークフロー利用時の管理者へのメール通知
  • スケジュール公開設定
  • REST API
  • コンテンツ投稿時にCDNキャッシュを自動で削除
  • FacebookやTwitterなどのソーシャル連携
  • マルチサイト運営
  • メールマガジン運営
  • 高いセキュリティ
  • 高い拡張性(スケーラビリティ)
  • 他システムとの連動
  • 多ユーザーでのサイト管理
  • ユーザーごとの細かい権限設定

企業ニーズをあげだすとキリがないですが、Druaplを使うことで、これらの企業ニーズもノンプログラミングで構築できます。

特に多言語対応を標準サポートしているCMSは珍しく、グローバル化するビジネスシーンにおいて、多言語・多地域を意識したサイトの重要性が増してきているため、大企業では必須の機能です。

Drupalではベースとなる元言語を設定し、任意の数の翻訳言語を追加してコンテンツを表示することができます。

設定方法やコンテンツの作成方法に関する詳細は「Drupalで多言語機能を利用して、複数言語に対応したサイトを構築する方法」をご覧ください。

他にも承認ワークフローという「上司が記事をチェックしてから公開する」などの、コンテンツ公開までの流れを管理する機能があったり、ユーザーごとに細かい権限を設定できるなど、大企業にとって便利な機能が標準で用意されています。

また、次期メジャーバージョンのDrupal 10は2022年12月14日にリリースが予定されています。
追加される機能の詳細に関しては「Drupal 10のリリース日と主な機能、Drupal 7やDrupal 8、Drupal 9からのアップグレードについて」をご覧ください。

運用者に優しいDrupal 8・9

管理画面が使いにくいと、いくら便利な機能が揃っていても魅力は減ってしまいます。
Drupalはサイトを運用する管理者にも優しい設計になっています。

今回はDrupalで使える特に便利な「クイック編集」と「メニューリンク編集」を紹介します。

クイック編集

Drupal 8から追加された機能に「クイック編集」があります。
これは、サイト管理者が実際にサイト上から直接編集ができる機能です。

一度管理画面に移動してから編集するようなCMSが多い中、実際の表示を見ながら編集できるので、知識のない人でも直感的に編集できます。

クイック編集のやり方

ちなみに、デフォルトではモジュールがインストールされていないため、管理画面のメニューバーの[機能拡張]に移動し、「Quick Editor」モジュールをインストール・有効化する必要があります。

管理画面の「機能拡張」から「Quick Edit」モジュールのインストール・有効化が必要。

メニューリンク編集

管理画面に表示するメニューに、簡単にリンクを追加したり編集できます。
コードを触る必要がなく、管理画面で簡単に編集できるのは非常に重要です。

メニューリンク編集のやり方

他にもメニューリンクだけでなく、Drupalでは管理画面を柔軟にカスタマイズして、目的に応じたコンテンツ管理機能を無理なく構築できます。

実際の運用に合わせてカスタマイズしておくことで、「どこから編集したらいいか分からない」といった問題を解決できます。

Drupalの事例

Drupalは政府機関、高等教育機関、グローバル企業、NGOなど様々な企業や団体に使われています。
DrupalのExplore featured case studiesページ」を見れば様々な実績を確認できますが、その中でも下記のような世界の名だたる団体や企業で、Drupalは利用されています。

オープンソースのソフトウェアでありながら、これだけの実績を持っているのは高いセキュリティを持っていたり、拡張性の面で信頼されている証です。

Drupalコミュニティ

Drupalのコミュニティは、世界最大のオープンソースコミュニティで、100万人いると言われています。
日本国内では「Drupal Japan ユーザーグループ」として活発に活動をしています。

Drupal Japan ユーザーグループ

開発を始めたい方へ

Drupalを学ぶには何から始めたら良いか分からないという方を多く見受けられます。
今すぐに始めたいと言う方は、まずやりたいことを検索してみて、分からないことはコミュニティで聞くのが良いのではないでしょうか。

当ブログでもDrupalの使い方などの日本語コンテンツを拡充していく予定です。ぜひ他のコンテンツも見て理解を深めていただければ幸いです。

また、弊社にはDrupalでの開発経験が10年以上を誇る開発者や寄与モジュールのコントリビューターなど、経験豊富な技術者が多数揃っています。
Drupalの新規導入、既存システム保守管理などのご相談がありましたら、お気軽に弊社にお問い合わせください。

阿部 正幸/ 代表取締役

Drupal歴15年、ウェブマーケティング、インフラ構築、AP開発が守備範囲です。
キャッチボール、筋トレ、日本酒、ウイスキーが好きです。天気の良い日に、誰かキャッチボールして、立呑に付き合ってください。
好きなDrupalモジュールはIMCEです。

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