AIに弱い検索・強い検索とは?1400個のキーワード分析ではっきり見えた伸び率

じま
AIに弱い検索・強い検索とは?1400個のキーワード分析ではっきり見えた伸び率

前回、取引先サイトのセッション減少を調べたところ、

  • AIからの直接流入はごくわずか
  • 検索順位は維持
  • 表示回数は増えている
  • クリック数は減っている

 

という結果が出ました。
GoogleのAI Overview(以下「AIO」)によるゼロクリック化を疑わせる、典型的パターンです。

 

前回の記事
AIOで流入減・ゼロクリック化は本当に起きてる?自社データで検証した結果
AIOで流入減・ゼロクリック化は本当に起きてる?自社データで検証した結果

 

ただし、これはサイト全体をひとまとめにした数字にすぎません。
前回のまとめでは、こんな内容にも触れていました。

  • サイト全体の減少は前年比マイナス25%前後
  • コンテンツ単体だと、マイナス70%以上落ちているページもあった

 

サイト全体が均等に減っているわけではありません。ページやカテゴリによって開きがあります。
ということは、流入につながるキーワードに応じて、AIOの影響の受けやすさは異なっているはずです。

そこで今回は、実際に1400件を超える検索キーワードを分析・分類し、「AIに弱い検索キーワード」と「AIに強い検索キーワード」の違いをさぐってみました。

目次

 

1400件のキーワードを7つの検索意図に分ける

まずは、サイトの流入キーワードをすべて洗い出し、7つの検索意図ごとに分類しました。

分類名 概要 流入キーワード内を
占める割合
商品検索 すでに製品を持っている人が、
型番そのものを検索
31.4%
比較・購入検討 メーカー比較、価格、工事費込みなど、
購入を検討している段階の検索
36.0%
エラー・故障トラブル エラーコードや水漏れなど、
困りごとの検索
14.1%
基礎知識・用語 「~とは」など、
概念や仕組みを知りたい検索
8.4%
家電量販店・業者名 特定の店舗名を含む検索 5.1%
業者不信・トラブル 「詐欺」「怪しい」など、
特定業者への不信感を確認する検索
3.3%
無関係 対象サイトのテーマとは
直接関係のない検索
1.6%

 

最も数が多いカテゴリは「比較・購入検討」カテゴリで36.0%でした。
2番目に多かったのは「商品検索」カテゴリで31.4%。
3番目に多かったのは「エラー・故障トラブル」で、2番目の半分未満の14.1%。
最も数が少なかったカテゴリは、無関係カテゴリを除くと「業者不信・トラブル」カテゴリの3.3%でした。

犯人は「比較・購入検討」カテゴリ

さらに、分類したそれぞれのキーワードのクリック数・表示回数・CTRを、前年同期と比較してみました。

分類名 概要 クリック数前年比 表示回数前年比 CTR前年比
商品検索 すでに製品を持っている人が、
型番そのものを検索
前年比25.7%減 前年比11.2%減 前年比2.7pt減
比較・購入検討 メーカー比較、価格、工事費込みなど、
購入を検討している段階の検索
前年比23.3%減 前年比9.9%増 前年比1.64pt減
エラー・故障トラブル エラーコードや水漏れなど、
困りごとの検索
前年比32.0%減 前年比18.8%減 2.23pt減
基礎知識・用語 「~とは」など、
概念や仕組みを知りたい検索
前年比31.1%増 前年比70.7%増 0.26pt増
家電量販店・業者名 特定の店舗名を含む検索 前年比39.6%増 前年比18.6%減 2.07pt増
業者不信・トラブル 「詐欺」「怪しい」など、
特定業者への不信感を確認する検索
前年比57.7%増 前年比35.3%増 0.97pt減
無関係 対象サイトのテーマとは
直接関係のない検索
前年比65.9%減 前年比33.3%減 6.55pt減

 

真っ先に目につくのは「比較・購入検討」カテゴリです。

  • クリック数:前年比23.3%減
  • 表示回数:前年比9.9%増
  • CTR:前年比1.64pt減

 

前回サイト全体の傾向に見えたのと全く同じ、「表示回数は増えているのにクリック数は減っている」パターンです。
しかも、このカテゴリは7分類の中で最大の36.0%を占めています。
サイト全体の数字を押し下げていた主な要因は、このカテゴリの可能性が高いのです。

「商品比較」「価格」といった検索は、まさにAIOが最も答えを出しやすい領域だと考えられます。
ユーザーが求めているのは「大まかな相場感」や「メーカー・商品間の違い」であることが多いです。
「○○と××、どちらがおすすめ?」「○○はいくら?」といった質問は最初の一文で答えられますし、AIOの要約だけで概ねの満足が得られてしまうのでしょう。

商品検索・エラー系も落ちている

「商品検索」「エラー・故障トラブル」もクリック数が減っていました。

商品検索

  • クリック数:前年比25.7%減
  • 表示回数:前年比11.2%減
  • CTR:前年比2.7pt減

エラー・故障トラブル

  • クリック数:前年比32.0%減
  • 表示回数:前年比18.8%減
  • CTR:前年比2.23pt減

 

ただし、この2つは「比較・購入検討」とは事情が違いそうです。表示回数自体も減っています。AIOに流入を奪われたというより、そもそもキーワードの検索される回数自体が減っている可能性があります。
同じ「クリックが減った」でも、原因がAIOなのか、それとも検索需要そのものの変化なのかは、区別して考える必要がありそうです。

逆に伸びていたカテゴリも

一方で、はっきりと伸びていたカテゴリもありました。

基礎知識・用語

  • クリック数:前年比31.1%増
  • 表示回数:前年比70.7%増
  • CTR:前年比0.26pt増

 

「~とは」のような用語や基礎知識の検索は、AIOに答えを取られやすいのではと当初予想していましたが、結果は逆でした。
表示回数が大きく伸びています。検索需要そのものが増えているか、このジャンルのコンテンツの評価が上がっている可能性があります。

家電量販店・業者名

  • クリック数:前年比39.6%増
  • 表示回数:前年比18.6%減
  • CTR:前年比2.07pt増

 

表示回数は減っているのにクリック数は伸びている、珍しいパターンです。
特定の店名を含む検索は指名検索に近い強さを持っており、AIOの要約だけでは満足しにくい領域なのかもしれません。

業者不信・トラブル

  • クリック数:前年比57.7%増
  • 表示回数:前年比35.3%増
  • CTR:前年比0.97pt減

 

7分類の中で最も伸び率が高かったのがこのカテゴリです。なかなか興味深く、単独で深掘りする価値があると感じたので、次の記事であらためて取り上げます。

まとめ

今回の分類でわかったのは、「AIOの影響」とひとくくりにされがちな現象も、検索意図によって異なる様子を見せる、ということでした。

すでに比較検討が進んでいて、答えの選択肢を絞りたいだけの検索は、AIOに答えを取られやすい傾向があります。
逆に、固有名詞を含む検索や、特定の相手への信頼性を確認したい検索は、AIOの要約だけでは満足せず、「実際に自分でサイトを訪れ、見て読んで確かめたい」という動機が残りやすいようです。

もし自社サイトでもセッションの減少が気になっているなら、まずは流入キーワードを「ユーザーが何を知りたくて検索しているか」で分類してみるのがおすすめです。
減少の原因が同じではないとわかるだけでも、次に何をすべきかが見えてくるはずです。

 

次回は、7分類の中で最も伸びていた「業者不信・トラブル」カテゴリを掘り下げ、AI時代に人がクリックしてでも確かめたい検索とは何かを見ていきます。

 

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じま / マーケター

マーケターとして入社しました。
SEOやコンテンツ、データアナリティングなどマーケティング業務をおこなっています。
美術鑑賞が好き。休日はたまに美術館や博物館へ出没します。

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