Drupalが使いにくいと言われる理由
モチヤスタッフCMSとして有名なDrupalですが、一部のユーザーには使いにくいと言われることがあります。
本記事では、Drupalが使いにくいと言われる理由と、それらを解決するための具体的な対策について解説します。
Drupalを検討している人や、「使いにくいって聞いたけど実際どうなの?」と気になる方はぜひ最後までご覧ください。
Drupalの基本
Drupalとは?
Drupalは、無料で利用できるオープンソースのCMSです。
世界で利用されているCMSの中でも3番目に利用が多いソフトウェアで、2012年以降は「大企業とプログラマに向けたCMS」を目指して開発されています。
CMSの中には有料で提供されているものもあり、特に大規模なウェブサイトやエンタープライズ向けのCMSは有料の場合が多いです。
しかし、Drupalはオープンソースのため、無料で利用できます。
高額なライセンス費用の代わりに、開発費に費用をかけることができます。
Drupalの特徴
Drupalは他のCMSと比較して、グローバル企業・政府・高等教育機関・NGOなどで多く利用されているのが特徴的です。
そのため、大企業が求める機能が十分に備わっていたり、セキュリティにも力を入れているのが特徴です。
- エンタープライズに対応できる機能:大企業が求める「多言語対応」や「承認ワークフロー」が標準で備わっています
- 高いセキュリティ:セキュリティに力を入れており、専門のセキュリティチームが日々改善のために動いています
- モジュールによる拡張性:Drupalはモジュールの追加やカスタマイズが容易で、さまざまな要件に対応できます
Drupalについてさらに詳細な内容を知りたい場合は、Drupalについて基本的な内容や特徴をまとめた記事もあるので、ぜひそちらもご覧ください。
参考:Drupalとは、Drupalの特徴 | モチヤ株式会社
使いにくいと言われる理由とその対策
大企業が求める機能が備わっていたり、セキュリティや拡張性も十分なDrupalですが、使いにくいと言われる理由は何でしょうか。
ここからは、Drupalが使いにくいと言われる理由とその対策について紹介します。
管理画面や設定項目の複雑さ
Drupalはカスタマイズ性が高く、自社に合わせて柔軟にカスタマイズできるCMSです。
そのため、設定項目が多くあります。
この設定項目やオプションの多さが、特に新規ユーザーにとっては複雑に感じてしまいます。
必要な設定がどこにあるのか迷ってしまうかも知れません。
また、Drupalの専門用語や、独特な仕様の管理画面で使いにくいと感じてしまうかもしれません。
少し具体的な機能の話になりますが、私が初めてDrupalを使ったとき、コンテンツタイプがすべて混ざった状態で一覧画面に表示されることに戸惑いました。
Drupalは標準で下記2つのコンテンツタイプが用意されています(カスタマイズすれば他のコンテンツタイプも追加できます)。
- 「基本ページ」:「About us」のようなあまり更新されない内容のページに使用する
- 「記事」:ニュースやブログのような時系列が重要なコンテンツに使用する
他CMSの場合、「基本ページ」と「記事」は全く別の用途なので、管理画面では一覧ページごと別々になっているケースをよく見かけます。
しかし、Drupalのコンテンツ一覧ページでは、これらのコンテンツタイプが混ざった状態で表示されます。
最初は戸惑っていたのですが、フィルタリングすれば問題なく表示できますし、全コンテンツの中から最近更新したものを確認したり、横断して検索することができます。
このように、最初はDrupal独特の仕様で違和感がある部分も、管理画面の使い方に慣れていく中で解決していく問題もあります。
対策1:ヘルプやチュートリアルの活用
ヘルプ機能やチュートリアルを活用して、Drupalの理解を深めましょう。
特にDrupalを初めて使う場合は、まずはDrupalの概要や具体的な操作手順、設定例を確認しておくと、どこに何があるか把握しやすくなります。
チュートリアルはAcquia JapanがYouTubeに出している初心者向けDrupal講座がオススメです。
Drupal 8、9対応のため、少し古いバージョンになってしまいますが、1本あたり5分程度の動画でDrupal全体をざっくり学べます。
対策2:管理画面のカスタマイズ
管理画面メニューの項目を整理し、よく使う機能へのショートカットを作成し、必要な機能にすぐアクセスできるようにしましょう。
また、管理メニューを整理して必要な項目だけを表示するようにすれば、迷うことも少なくなります。
日本語情報の不足
特にCMSとして有名なWordPressと比較すると、Drupalはどうしても情報が限られてしまうため、日本語で検索したときに出てくる情報が不足しているように感じてしまいます。
対策1:Drupal Japanユーザーグループを利用する
Drupal Japanユーザーグループは、Drupalの公式サイト内にある日本のユーザーグループです。
日本語で質問やディスカッションが行われているので、気になるトピックを探したり、投稿して聞いてみるのも1つの手です。
ただし、投稿するときは質問の仕方に関するページを確認するようにしましょう。
対策2:翻訳ツールの活用
最近は翻訳ツールの精度も非常に高くなっています。
英語ドキュメントだったとしても、とりあえず翻訳ツールに翻訳してもらうだけで、ほとんどの文章は問題なく読めます。
Drupalに限らず、どうしても英語の情報が多くなってしまうのは仕方がないため、苦手意識がある場合も、1度翻訳ツールや生成AIなどに翻訳・要約してもらうのがオススメです。
カスタマイズの難しさ
Drupalはカスタマイズが難しいと言われることがあります。
特に、WordPressのような他のコンテンツ管理システムと比較して、Drupalのカスタマイズは高度な知識を要求されると言われます。
また、先ほど紹介した「日本語情報が不足している」とも繋がってきますが、やはり情報が限られているため、カスタマイズしようと思っても、なかなか思った通りの情報が見つからない可能性があります。
対策1:Drupal 10のカスタマイズ機能を使用する
Drupal 10以降はプログラムを触ることなく、モジュール単位でコンテンツを追加したり、表示のカスタマイズがしやすくなっています。
複雑なことは難しいですが、新たな要素を追加するのは管理画面からできるので、挑戦してみるのもいいかもしれません。
管理画面でコンテンツを編集する機能については、過去にいくつか記事にしています。
気になった記事を読んでぜひ試してみてください。
参考:サイト上のレイアウトをブロックで管理するDrupalの「ブロックレイアウト」の使い方
参考:Drupal 10で採用されるWYSIWYGエディタ「CKEditor 5」の設定方法
参考:Drupal 10のResponsive Gridでレスポンシブに対応したグリッドレイアウトを実現する
対策2:Drupal独自の構造を理解する
本格的にカスタマイズしたい場合は、Drupalの公式ドキュメントを見て、Drupal独自の構造を理解することが重要です。
英語のドキュメントになってしまいますが、翻訳ツールなどを活用して挑戦してみるのもいいかもしれません。
対策3:Drupalコミュニティの活用
Drupal Japanユーザーグループを活用しましょう。
自分が知りたい内容が過去に投稿されていないか調べ、もし無ければ質問すると返ってくるかもしれません。
アップデートなどの保守管理の難しさ
最近のDrupalはアップデートがしやすいようになってきていますが、例えばDrupal 7から最新のDrupal 10にメジャーアップデートしようとすると、かなり大がかりな作業が発生します。
また、アップデート時には使用しているモジュールがアップデート後にも対応しているかどうかの確認も必要です。
対策1:最新のDrupalにメジャーアップデートする
Drupal 8以降、メジャーバージョンアップが以前と比べると簡単にできるようになっています。
また、Drupal 7を未だに利用している場合は、サポート期限が迫っているため、すぐに移行作業が必要になります。
詳しくは過去に記事にしているので、そちらをご覧ください。
参考:Drupal 7からDrupal 9に載せ替えるべき理由を解説します | モチヤ株式会社
対策2:専門家に依頼する
アップデート作業や保守管理は慎重に行う必要があります。
また、アップデート後のバージョンに関する知識や、モジュールが新バージョンに対応しているかどうかなどの調査・管理も必要になってきます。
専門家に依頼して、まとめて管理してもらうのも1つの手です。
もちろん、弊社モチヤではDrupalのシステム保守管理を受け付けています。
まとめ
Drupalは初めは複雑に感じられるかもしれませんが、「多言語対応」や「承認ワークフロー」などの大企業が求める機能が標準で備わっている点は非常に魅力的です。
理解を深め、Drupalの強みであるカスタマイズ機能と柔軟性を最大限に活用しましょう。
なお、弊社モチヤではDrupalの新規構築や、システム保守管理などのご相談を受け付けております。
弊社にはDrupalでの開発経験が10年以上を誇る開発者や寄与モジュールのコントリビューターなど、経験豊富な技術者が多数揃っています。
ぜひお気軽にご相談ください。
モチヤスタッフ
Drupalなど技術に関する投稿をモチヤのスタッフが行っています。
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